絶対2020
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絶対2020

絶対 2020 / Absolutely 2020

齋藤陽道 Harumichi Saito |
2020.11.18-2020.11.30  | 日本橋三越本店 本館6階 コンテンポラリーギャラリー

過去の写真展【絶対 / Absolutely】より一層洗練された作品約20点を展示


以下、HP[MITSUKOSHI CONTEMPORARY GALLERY]より引用
 

齋藤氏は1983年9月3日 東京都生まれ。

2008年ごろから写真に取組み、2010年第33回写真新世紀優秀賞を受賞しました。

2020年には河合広樹氏が監督の映画「うたのはじまり」にて主演を務めました。

彼が自身の子育てを通して、嫌いだった「うた」に出会うまでのドキュメンタリーとして描かれた作品です。

齋藤氏が補聴器を捨て、カメラを持ったのは20歳のときでした。

「聞く」ことよりも「見る」ことを選んだ彼は、写真という表現を通して、自身の疑問、ひとと正面から向き合ってきました。

齋藤氏の作品、ことばに触れたとき、太陽の光を直視した一瞬のように、圧倒的なひかりにこころを射抜かれます。

そのあとに、疑問がわいて、そもそもひとってなんだろう、写真とはなんだろう、いのちとはなんだろう、音って?みるとは?と

さまざまな言葉の意味を知りたくなってきます。

辞書には、こう記されています。

たとえば、写真【しゃ-しん】“①ありのままを写し取ること。また、その写しとった像。(広辞苑より引用)

このとおり言葉であらわすのはとても簡単です。

その意味をしっていれば「わかっている」気持ちになれます。

でもそれは結局、表面をなでるような言葉だけではとうてい足りない、しばれないことを思い知らされます。

いのちそのものと向き合うことで感じる、そっと隣に存在してくれている体温を、
言葉や音で表現するのがむずかしいように、あたたかくかけがえのないこころが映し出されているようだと思います。


『絶対』と題された本展では、ひかりに照らされた被写体から放たれるいのちの瞬きをおさめた
逆光ポートレイトシリーズの作品約20点をご紹介いたします。
 

こちらより、齋藤氏による本展のステートメントを引用いたします。


 

【齋藤陽道 『絶対』ステートメント】

 

地平線に太陽が近づく夕暮れ時の

わずかな時間を共にした、あなた。

あなたの背中では、太陽が輝いている。 

ピントを合わせようとしながら、

光にまみれるあなたを見つめる。

暴力的な光が、網膜を貫く。ぎらぎらと。ぎらぎらと。

それでも、光の奥にいるあなたへと目を凝らす。

そうしているうちに、言葉が、溶けて、いって。

 

つい先程まで向き合っていたはずのあなたが、いない。

目の前にいるあれは、あなたではない。

ただの存在としての「あなた」だった。

「あなた」と、光の中で出会い直す。

 

白い光のもと、わずかな生命の合間で邂逅した私たち。

素朴な、しかし、ゆるぎない絶対の事実だけが、浮きあがる。

 

 

 

肩書や、職業、種族、民族、性差、年齢、障害名といった

言葉のレッテルを通して、

いのちをまなざすことをしたくはない。

 

けれども、そう願う私自身、

すでに貼られたレッテルを見て

わかった気になる怠け心は根深くあります。

 

言葉に区切られて当然といった世界観から、

自由になりたい。

 

甘ったるい夢物語と笑われようとも、

それが私の長年の願いであり、戦いです。

 

『絶対』の逆光ポートレイトシリーズは、

いのちを言葉で区別することの無意味さを、

私自身が、思い知らされる作品として生まれました。 
 

(齋藤陽道)


 

 

 

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